環境アセスメント学会制度研究部会第16回定例会報告
1.日時 平成21年3月31日(水)18:00~20:00
2.場所 明治大学14号館6階A会議室
3.テーマ 土地区画整理事業の事業計画決定の処分性を認めた最高裁判決(平成20年9月10日)について
4.話題提供者 首都大学東京都市教養学部教授 奥真美さん
5.参加者 11名
6.概要
浜松市の上島駅周辺土地区画整理事業の事業計画決定の取り消し等を求める訴訟について、第1審および第2審では、従来の判例に従い、
①青写真論、②付随的効果論、③後続行為論を理由に事業計画決定の処分性を否定したが、最高裁(平成20年9月)は、本件の事業計画の決定は、
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為と解するのが相当であるとして、第1審判決を取り消し、第1審に差し戻した。
これは、昭和41年2月の最高裁判決および平成4年10月の最高裁判決において維持されてきた従来の判例を42年ぶりに変更したもの。
最近の最高裁判決における処分性拡大傾向と合致すると見ることができる。
今後の課題として、「都市計画争訟研究報告書」(2006年、(財)都市計画協会)の提案なども参考にしつつ、より早期段階での実効的な権利救済の検討が必要であり、
早期段階からの情報公開・参加・合意形成手続きが確保されることが重要である。この点で、計画アセスや戦略アセスにかかる手続きの保障と立法化が要請される。
(文責:上杉哲郎)