環境アセスメント学会制度研究部会第17回定例会報告
1.日時 平成21年6月18日(木)18:30~20:30
2.場所 明治大学14号館6階A会議室
3.テーマ 地球温暖化「日本への影響」 ―長期的な気候安定化レベルと影響リスク評価―について
4.話題提供者 国立環境研究所統合評価研究室 主任研究員 肱岡靖明さん
5.参加者 12名
6.概要
気候安定化レベルを考えるためには、さまざまな分野・地域の温暖化影響を総合的に評価することが必要である。
このため、環境省の地球環境研究総合推進費により温暖化影響総合予測プロジェクトが平成17年から4年間かけて行われ、昨年5月と本年5月に成果報告が出された。
温暖化の影響はすでに出ており、第4次IPCC報告の際には1000を超える影響に関する論文が報告され、日本でも開花時期や紅葉時期、高山植生への影響などが報告されている。
気候安定化目標は、影響回避に十分であるかどうかが重要であるが、どういう対策をとっていくかなどによっても安定化の経路は異なってくる。
温暖化による将来影響予測は、排出シナリオ→気候シナリオ→影響予測シナリオで行っているが、今回の研究では、
主要な分野(水資源、森林、農業、沿岸域、健康)におけるわが国の国・地域への温暖化影響を総合的に把握し、温暖化の程度との関係や安定化シナリオによる影響の違いなどを示した。
まだ研究途上であり、統合の難しさ、不確実性、価値判断の難しさがあるが、今後は、すでにある技術や知識をうまく適応していく方策を研究していくことが課題である。
(文責:上杉哲郎)