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アセス図書の非公開措置をめぐって
~国民の財産としてのアセス図書の適正管理と公開のルールを早急に~

著作者(文責):NPO地域づくり工房  傘木 宏夫
著作期日:2011.06.13
掲載期間:2011.06.16~
掲載の可否: 転載無制限

  環境省では、平成11年度よりアセス図書を公開し、社団法人日本環境アセスメント協会の一室がその閲覧場所として利用されてきた。アセスに関する調査や研究でこれを 利用されている学会員も少なくないはずだ。
 このたび私は調べたいことがあって、アセス図書の閲覧を申し込もうと同協会のホームページを見たら、閲覧サービスは終了しており、今後は環境省担当課へ直接問合せる ようにとの告知が掲載されていた。そこで環境省に電話すると、事業者より問題点が指摘 され、公開ルールを確立するまでの間は中止しているとの回答があった。その後、担当 係長より詳しい説明を受ける機会があった。
 まず驚かされた事実は、平成11年度から公開してきたものの、そのルール(要綱等)は作られていなかったということである。そのため、事業者である電事連や事業官庁など から著作権法上の問題が指摘され、ルールを確立するまでの間、これまでの方法による 公開を中止する判断を下したということである。
 実は、環境省に提出されていた評価書には、審査に供するために縦覧では出していない希少種の詳細な位置情報を添付している場合があり、それらも無造作に公開され、複写が可能な状態になっていた。具体的な問題はこれまでのところ発覚していないが、希少種の乱獲などを引き起こす可能性があった。
 そこで、このたびのアセス法改正で電子縦覧の規定が盛り込まれたことをふまえて、公開ルールを早急に確立すべく検討をすすめているとのことである。それまでの間は、閲覧したい図書を個別具体に指定してもらい、事業者の了解を得た上で、条件(マスキング等)をつけた上で閲覧なり複写なりをしてもらうという流れになるとの説明であった。まさか、アセス図書のアーカイブがこんな状況になっているとは想像もしていなかった。私は、先のアセス法改正に向けての意見募集において、手続き完了後のアセス図書の保存と公開について制度的な位置付けをするように提案し、本学会の2009年度研究発表大会におけるシンポジウム「アセス法改正」においてもパネリストの一人として指摘したところである。しかし、行政の側がこのようなずさんな状況であれば、そうした意見が受け入れられるはずもない。
 アセス図書は、環境面のみならず、開発行為があった地域にとっては当時の社会状況をも知ることができる貴重な資料であり、国民の財産である。それゆえ私は、法律や条例により一般に縦覧されていたものが、手続きの完了後では開発行為のあった現地で見られない状況が多数存在している状況は改善される必要があると考えてきた。現状では、手続完了後のアセス図書の閲覧は、法アセスでは東京一ヶ所のみでの閲覧で、条例アセスでは一部の自治体に限られている。
 それが今、法アセスの図書は、行政の怠慢により、情報公開の手続きを踏むのと同じような状況でしかみられない。そしてこのことがきっかけとなって、ルール化された結果が、過去のアセスのデータを共有し、環境保全に役立てる方向とは違った形で現われてしまうことを懸念する。
 この際、国・自治体を問わず、手続き完了後のアセス図書の保存と公開、その活用について、環境対策の前進に向けたルールとして確立されるように、学会としても研究し、しかるべき方策を関係機関に申し入れるべきである。

傘木宏夫
NPO地域づくり工房