会長挨拶
わたくしは、2012年4月から鹿島前会長の後を受けて環境アセスメント学会会長に就任いたしました。前会長は交通計画がご専門でしたが、私は法律をバックグランドとして環境科学を学び、環境法や環境法政策を専門としています。そういう意味では、第2代会長の浅野先生と同じ社会科学系ということになります。今回、会長選挙において、多くの方々からご支持を頂きましたことをお礼申し上げたいと思います。
ここに立候補時の抱負にも述べましたことを再度確認したいと思います。東日本大震災による未曾有の被害に対する復旧・復興の遅々たる現状は心を痛めるところでありますが、環境アセスメント事業を取り巻く厳しい環境に目を向けますと、これから始まる復興特別区域法による特定環境影響評価の運用の検証や戦略的段階の復興アセスの活用など、今こそ、アセス関係団体との連携や協働のもとでの学会の果たすべき役割の大きさと責任の重さを痛感いたしております。そのため、公益会員と賛助会員等との交流を深めるためのフォーラムを立ち上げることや地方公共団体等でアセス業務に携わる方々の学会参加を促すような工夫も企画できたらと思っています。
一方、学会は今般改正されたアセス法と残された様々な課題について、理論と技術の両側面から制度の適切な運用や技術的支援などに積極的にかかわっていくことが求められています。たとえば、説明会におけるコミュニケーションのよりよき実践と実践例の紹介やわかりやすいアセス図書の作成を推進させるため優良図書の格付け評価と表彰制度の構築などもその一端ですが、機会を捉えて環境アセスメントの理解とその普及に会員総意で取り組んでいくことが重要と考えております。そこで、現在進めている学会10周年事業としての環境アセスメント教科書の作成もその一助として刊行に向けての努力を注ぎたいと存じます。
本年は環境基本法の改正に伴い、放射性物質による汚染とその対策も守備範囲に入ることに伴い、環境アセスメントにおいてもその対応が新たに求められると思います。新たな予測・評価に関する関連領域の研究者や実務担当者の方々との協働を促し、その成果を社会に還元することで、さらなる学会の充実と発展の実現に向けて最大限の努力を尽くしたいと考えております。
環境アセスメント学会
会長 柳 憲一郎
(明治大学法科大学院)